函館市交特集 9601号搬入の様子

 2007年3月20日より営業運転に入った函館市電初の超低床電車9601号。その9601号、メーカーであるアルナ車両から交通局に納車されたのは前年の12月18日でした。
アルナ車両がある兵庫県からトレーラーに載せ(荷台に仮設のレールを設置した上で台車を取り付け2車体連接のまま)陸送。途中フェリーを使い北海道は苫小牧に上陸。そのまま陸送で交通局に世も明け切らぬ早朝に到着。到着したその日のうちに搬入作業が行われました。
 交通局からの特別なご配慮により、搬入作業を記録させてもらう事ができました。今回は交通局から公開する許可を得ることができましたので搬入作業の様子を皆様にお届けします。

 なお、車体色が違うのは運搬時キズや汚れ防止の為に全面にブルーの保護フィルムが貼られている為です。


 作業は午前8時半頃より開始。今回は従来のクレーンによる搬入方法とは違うためか車庫前にトレーラーを乗り入れての搬入。
画像ではクレーンが写っていますが、これは屋上機器の取り付けの為のクレーンです。クーラー・インバータ・パンタグラフ等取り付けを終え、いよいよ車体をトレーラーから降ろす作業に移ります。

クレーンで車体を降ろす方法ではなく、今回はスロープを使って降ろす方法が採られました(鉄道模型をやっている方ならリレーラーを想像していただけるとわかりやすいです)。そのスロープ、6・7分割されて運ばれてきており、クレーンで降ろした後人力で設置場所へ運搬(鉄製なんで結構重量があるようで物によっては5・6人で運んでました)。設置後も上下左右のズレがないか微調整に結構な時間が費やされていました。

 設置し終えたスロープにトレーラーを付ける為にトレーラーを車庫内に移動したのですが、トレーラー幅ギリギリの車庫入口にバックで入れる腕の良さにはさすがプロと惚れ惚れ(トレーラーの後退は乗用車から比べると非常に難しいらしい)
 入口を交わした後に更難関があり、スロープと荷台上のレールをぴったりあわせなければなりません。それも一度もやり直すことなく難なく終了。「さすが!」と思いきや、コレにはタネがありトレーラー後部の車輪を作業員がリモコンを使いステアして幅数センチのレールをスロープにぴったりとつけるように微調整していました。

トレーラーと降ろす先に止めてあるトラック双方からウインチでワイヤーを張り、トレーラーの方ではゆっくりウインチを緩めながら降ろし、トラックの方では気持ち引っぱる感じで巻き取りといったように、少しずつ少しずつスロープを下らせていきます。↑画像のように、もしもの時に滑走しないよう降りる速度に合わせて車止めを車輪手前に噛ましながら。
←新世代車両が初めて交通局の地に降り立った場面。

この後、スロープの撤去回収され搬入作業は終了となりました。なお保護フィルムは暫く剥がされずにそのままの状態でいたとのこと。

↓スロープを降りる所をアニメーションGIF可してみました